水戸黄門 第38部第22話『俺の姉に手を出すな・小田原』
そんなサブタイトル付けられたら見ない訳にはいかんでしょ。
水戸黄門なんて最後に見たのは一体いつの日か。
大まかな予告はこちら。
両親が遺した旅籠を懸命に守る姉と、道楽のからくりに夢中で旅籠を顧みない弟。姉は弟に愛想を尽かし、弟も姉に背を向けているようだが、実は、互いを思いやる心は忘れてはいなかった。姉から旅籠を取り上げようと悪の手が迫ったとき、弟が立ち上がる。姉だけが知るきょうだいの意外な秘密とは? 大路恵美と黒田勇樹が姉と弟を演じる。
以下、見逃した貴弟のために、姉属性観点からのあらすじをダイジェストで。
箱根から小田原に向かうご老公一行は、からくりの羽根を付けて飛ぼうとして失敗し足を骨折した男に出会う。
男の名は、良太郎。(良太郎…?)
話を聞くと、小田原の人気の旅籠・真砂屋の息子で、からくりの趣味が高じて家を飛び出したのだという。
その真砂屋は、姉・さよが女将として切り盛りしていると聞き、一行はその旅籠へと向かう。
ヤクザ者に絡まれている所を割って入り、さよに良太郎のことを尋ねると、サッと顔色が変わり「良太郎とは縁を切りました。そんな者とはもう姉弟と思っていません」とピシャリ。
そ、そんな…お姉ちゃん…冷たいことを……。
はやり病で両親を亡くした後、弟は旅籠を継ぐことを放棄して出て行ったことに愛想が尽きたのだという。
「この世でたった二人の血を分けた姉弟じゃありませんか」となだめる光右衛門。
「大けがをしてるんですよ、良太郎さんは」と告げると、お姉ちゃんはハッとした表情で引き下がり、両親の仏壇に「お父っつぁん、おっ母さん、良太郎を守ってやってください」と一心不乱に手を合わせるさよ姉。
やっぱり心の底じゃ弟のことが心配で仕方ない隠れブラコンなんだね!良いお姉ちゃんだよ…
弟を必死で案じるさよ姉が涙をこぼす所に、優しく声をかける光右衛門。
話を聞くと、「実は私と弟は血がつながってないんです…」と衝撃の告白!
両親の死後、自分は捨て子だったことを知り、ならば自分を育ててくれた事への恩返しに、弟が旅籠を継げるようにと厳しくしてきたのだという。
しかし、それがかえって弟のやる気をなくさせてしまい、お姉ちゃんもうどうしたらいいか分からなくて…と、つらい心境を打ち明ける。
一方、弟・良太郎。
家を出たのには、趣味のからくりの他に、もう一つ理由があるとつぶやく。
旅籠は姉さんに継いで欲しかったんだという。
「姉さんは、亡くなった二親に代わって、私のことを苦労して育ててくれた。そんな姉さんに早くいい人見つけて幸せになってもらいたいんだ。そのために私は邪魔だからね」
姉思いのいい奴め…!
お姉ちゃんとイチャイチャしたいタイプのシスコンとはまた違う、弟エゴ抜きの姉思い。
姉は、自分が弟のやる気を駄目にしてしまったのだと思い込んでいるだけ、弟も自分が旅籠を出て行くことが姉の幸せにつながるのだと信じ込んでいるだけ。
嗚呼、すれ違い姉弟の悲劇。
弟は姉さんに会いに行こうと、からくり車いすで小田原へ。
だが、目にしたのは悪奉行の罠にはめられて強引に連行される姉の姿。
おおっ、ここで「俺の姉に手を出すな」のセリフが!?
と思ったのですが、武闘派ではない彼には無理でした。
たとえ返り討ちにあったとしても、ここでカッコイイとこ見せて欲しかったことだけが、今回唯一の惜しいシーン。悪役を倒すのはご老公一行のお役目だから、仕方ないか。
悪者退治が終わり、旅籠に戻ってきた姉弟。
仏壇の前で向き合う二人。
良太郎「これからも真砂屋をよろしくお願いします」
さよ「出て行くのは私の方なの。あなたはこの旅籠を守っていってちょうだい」
良太郎「真砂屋は姉さんのものだ」
さよ「良太郎、私はあなたの本当の………」
ここで言葉をさえぎるようにご老公登場。
「これから姉さんと力を合わせて、この真砂屋を守っていきなさい」
と諭す。
うんうん、この姉弟には血のつながりよりも大事な絆がある。
折れた骨は、治ると前の骨より太くなる。そういうことっすよね、ご老公。
ただの権威主義の爺さんかと思ったら、案外姉萌えを理解しておられる。憎いね。
こうして一組の姉弟を救ったご老公一行は、小田原を後にする。
と、たまにはこんな素朴な姉弟愛もいいものなのでした。