今週のお姉ちゃんチェック
「姉魂っ」の打ち上げ会場での話。
某有名姉漫画家さんと話をしていて、
「適当に漫画家を掻き集めて描かせた姉アンソロジーはもう御免だ。本当に好きで姉モノを描く漫画家だけを募って、真の姉アンソロジーを作りたい!」
という計画が持ち上がりました。
いや、計画と言うほど具体的なものじゃないんですが、中長期的な野望として。
同人誌でもいいし(やれと言われれば企画・編集します)、商業誌でもいい(気概のある出版社様のご連絡お待ちしております)。
姉漫画家の描く姉コミックの競演。
夢のようじゃありませんか!
今週は、そんな姉漫画家の候補となる有望な先生方の新刊から。
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『ぼくだって姉とセックスしてみたい!』(狩野蒼穹/久保書店ワールドコミックススペシャル)
他に真似のできない、姉漫画界オンリーワンのゆるゆる姉弟漫画を描き続ける大ヴェテラン・狩野蒼穹先生の最新刊。
単行本に流れる空気は、ほぼいつも通り。
倫理観・価値観が人とはちょっとずれてるダメお姉ちゃんと、冷静で常識的な弟くんが、ゆる~い雰囲気の中で戯れているうちにいつの間にか合体しちゃっていたりします。
お姉ちゃんの匂いにこだわる姿勢も健在です。
とある全姉連の同志(実姉持ち)と話をしていたところ、数ある姉系漫画家さん達の中で、狩野先生の漫画の姉描写がもっともリアルに感じるんだとか。
<関連リンク>
おそらく初リンク。
成年コミックのレビューサイトでは世界一だと信じる「酒とエロ漫画の日々。」さん。
褒めスタイルを基本にしながら弱点も的確に指摘する批評の素晴らしさはもちろんのこと、その軽妙洒脱な文章は憧れを通り越して、もはや雲の上の存在。
『ぼくだって姉とセックスしてみたい!』のレビューについても、一分の隙もない的を射たレビューで、まったくその通り。
小弟の頭の中でモヤモヤして上手く表現できなかったことを、
ボケ担当姉ちゃん&ツッコミ担当弟の夫婦善哉
と一言でばっさり。
これをスラスラっと書ける日本語力が羨ましい。
姉コミックに限らず、気になる黄色い楕円があったら、まず「酒とエロ漫画の日々。」さんにお伺いを立ててみるのをお勧めします。
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お初にお目にかかります。
東磨 樹(とうま いつき)先生の初単行本とのことで、オール姉作品と聞きつけ拝読したところ、事実その通りの姉コミックでございました。
全編に渡って姉&弟一色の漫画。
我々の軽蔑すべき「姉と自称する女が、年下の男とシているだけ」漫画ではありません。
どの話も姉弟二人の関係、心の動きを丹念に追ったもので、成年コミックにおいてもストーリーを重視する貴弟に自信を持ってお薦めできる一冊です。
特徴として、ブラコンお姉ちゃんの甘甘オンリーな展開はほとんど無く、ほろ苦い感傷から、苦みの効いたダークストーリーが中心、ということでしょうか。
姉ゲーで言えば、ノーマルエンドないしバッドエンド的な雰囲気がメインです。
これは決して悪い意味ではなく。
一日だけの恋人ごっこがエスカレートして一線を越えてしまった話も、
「こうして姉弟二人は真の愛情を確かめ合って、さらに仲良くなるのでした。めでたしめでたし」
で終わってもよいものを、「日付が変わったら恋人ごっこはおしまい」で、姉は一人になった後「なんで弟......なのかなァ......」とため息をつく切ないシーン。
トゥルーエンドとは違うこの独特の余韻が印象深く残ります。
登場するお姉ちゃんはすべて実姉。
普段は実姉・義姉にこだわらない小弟ですが、実姉であることの意味が重要な話ばかりなので、実姉至上主義派ならばなおさらチェックしておくべき。
実用面でも、ねっとり濃い描写で、だいたい和8陵2くらいの割合。
パターン化されていなく、飽きも来ません。
初単行本から堂々姉オンリーの一冊で、完全に姉作家としての色が付いてしまったと思うのですが、もちろんそれは覚悟の上なんでしょう。
そんな姉作家を全姉連は応援します。
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今月のNornさんの1本。
いつものように子作り第一のゲームですが、今回は幼馴染みお姉さんのご登場となれば、全姉連の管轄。
ある日、主人公の不甲斐ない姿を見たヒロイン・御子神沙耶 (みこがみ さや)姉さんは、彼の根性をたたき直すとの名目で無人島へ修行に出掛ける。
修行中、互いに愛する気持ちを知った二人は...というお話。
沙耶お姉さんの紹介文。
大学生。 財閥のお嬢様にして洋介の幼馴染。 才色兼備で家伝の剣術にも長けている。洋介とは同じ学校出身の生徒会長で、憧れの的だった。
伝説的な生徒として語り継がれている。洋介の姉代わりとして何かと世話を焼いているが、怒っても懲りない洋介をなんとか鍛え直そうと思っている。
恋愛関係には初心で洋介に惹かれながらも今まで彼に告白できていない。
剣士のお姉さんということで、武道家の精神を宿す硬派なタイプと見ましたが、こういうお姉さんが弟に骨抜きにされる姿は容易に想像できるわけで。
ま、要するにいつものようないちゃラブを楽しむ気楽な作品ではないかと。
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「姉魂っ」当日レポート追加。
サークル参加されていたゲンマイさんのレポート。
飲み会での実姉主義の主張が熱い。
敢えて実姉でなくてはダメだ、という主張に納得するものがありました。
だがしかし、個人的な感情論からすると、こちとら実姉でも義姉でも贅沢言えない立場なんで、ああとにかく姉が欲しい、身近にいて優しく構ってくれるお姉ちゃんなら誰でも文句言わない、ちょっとくらいこき使われてもお姉ちゃんになら尽くします、ってレベルな故に、実姉主義というのはエリートの議論って先入観が未だにぬぐえないのです。
嗚呼悲しき負け犬根性。
このわだかまりを捨て去ることが、悟りを開くことにつながるんだと思います。